2011年12月18日日曜日

“Phaedra”


 石井の『死んでもいい』(1992)はジュールス・ダッシン Jules Dassinの同名監督作品(原題“Phaedra”1962)と地下茎を結んでいる。動画サイトにその断片があり、最近充実してきたので載せておこう。アンソニー・パーキンスがバッハのトッカータとフーガ ヘ長調BWV.540を歌いながらアストンマーチンを無茶苦茶に飛ばし、大型車両と正面衝突しかける終幕の描写は壮絶で目を瞠らされる。石井の作品でも似たような構図で(やや唐突な印象、不自然さを匂わせて。もちろん車も違うけれど)再現されていた。

 大竹しのぶ演ずる“名美”が映画のなかでその後どうなるかを、石井は私たちに示すことなく、静止画でもって断ち切ってしてしまうのだが、ここでのメリナ・メルクーリの姿を見れば(そして両者の連環を信ずれば)何となく予想がつくというものだ。石井の映画とは自作他作を問わず、かつてのスクリーンの記憶や残像にふちどられた“こだま”の群舞、輪唱の側面を具えているからだ。


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